ifLinkオープンコミュニティ|誰もがカンタンにIoTを使える世界を目指して

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IoTの導入障壁を超えるため~オープンイノベーションの仕掛けと仕組み~

ifLinkオープンコミュニティ
Summary

国内ではIoTの普及が順調には進んでおらず、DXへの変革を妨げる課題の1つともいわれる。
‟標準化の仕組み”と‟IoT 普及のための仕掛け”でIoTの導入障壁をどう突破しようとしているのか。

STORY

企業のIoT導入状況は10%以下!?

現在、国内IoT※1市場は急速に成長しており、IDC Japan によると、2021年から2026年までの年間平均成長率は9.1%と予測され、2026年には9兆1,181億円の市場規模に達すると見られています※2。一方で、企業のIoT導入状況は10%以下という調査報告書※3もあり、国内でのIoT普及には多くの課題が存在します。以下は、IoT システムの導入時の代表的な3つの課題です。

POINT!
IoTシステム導入の3つの課題

  ①センサー、エッジ端末、クラウドの各層で開発が必要
  ②ベンダーにより通信方式/ソフトウェア環境などが異なる
  ③多くのIoTの仕組みや業務は確立されておらず、それに伴う試行錯誤により、
           導入期間の長期化、コストの増大、IoT開発者の人材不足などの課題

     

※1:IoT (Internet of Things;モノのインターネット) ※2:IDC Japan国内IoT市場の産業分野別/テクノロジー別市場予測を発表https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ48989222 ※3:国内IoT市場の企業ユーザー動向調査結果を発表:製造マネジメントニュース-MONOist(https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1812/21/news053.html)

仕掛けはIoTプラットフォーム

 これらの課題を乗り越えてIoTを広く普及させるためには、メーカーや業界を超えてIoTの導入を進めるために、仕組みそのものの標準化が必要です。多くの人が使えるIoTプラットフォームはうってつけで、そこに(1)~(4)の要素を備えることが重要です。             

(1) 様々なセンサーと接続するための仕組み
  センサーは、Bluetooth、Wi-Fi、EnOcean、シリアル、DIO、インターネット経由など、多くの種類の通信方式を採用しており、そのフォーマットも様々です※4。そのため、通信方法を選ぶことなくIoT構築する仕組みが重要になります。
(2) エッジ端末とクラウド用ソフトウェア環境
 各層にかかる開発負荷を軽減するため、エッジ端末においては、センサーとの接続管理やクラウドへのデータ送信、クラウドにおいては、ユーザー/グループ管理、端末管理、IoTシステムのロジック編集などの機能を、開発することなく利用可能であることが必要です。
(3) 安価で使いやすいエッジ端末
 IoT開発の人材不足を踏まえ、安価で誰でも使いやすいエッジ端末が必要です。現時点ではAndroid や iOS などのスマートフォンを使用することが最も適切です※5
(4) 簡単にIoTシステムのロジックを記述するための仕組み
さらに、ノーコードで簡単にIoTシステムのロジックを記述するための仕組みがあることで、プログラマーではない現場担当者により、短期間で精度の高いPoC※6が実現可能となります。

  ※4:例えば温度であれば、摂氏、華氏、摂氏を10倍したもの(36.5℃は、365 と表記)、デジタル表記とバイナリーなど。※5:Android を採用した、ゲートウェイ機器や、ロボットなどでも ifLink は使用可能 ※6:PoC(Proof of Concept:概念実証)新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについて検証すること。

自分でつくれるIoT ifLink

IoTプラットフォーム“ifLink”※7は、これらの条件を満たすために開発されています。

ifLinkは、世の中に存在する多くのIoT機器やWebサービスを、ifLink マイクロサービス(IMS)のみを開発することで標準化(モジュール化)し、エッジ端末を介して機器やサービス間で接続できます。

さらに、IoTレシピを、よりカンタンに作成するため「IF-THENカード」というカードを利用してレシピを設定する仕組みを開発しています。「IF-THEN カード」にはIF用とTHEN用のそれぞれのカー ドがあり、ユーザーはIFカードを左に、THENカードを右に隣り合わせに並べ、スマホのカメラでカードを読み込むことでIoTレシピが設定できるコンセプトです。このように、IF-THENルールを使うことでより直感的にIoTを作るがことができます。  

IF-THENカード

※7:ifLinkは、東芝デジタルソリューションズ㈱の登録商標です。             

プラットフォームだけあっても仕方ない

IoTプラットフォームを使って、世の中で便利なことや嬉しいこと、誰もがカンタンにIoTを使える世界の実現を目指したいところですが、これまで説明してきたように、ifLinkはIoTを簡単に作るための“標準化の仕組み”です。一般的なソーシャルネットワークやコンテンツ共有サービスが、多数のユーザーがコンテンツを登録することで価値を生み出しているように、ifLinkもたくさんの人がその仕組みを使うことでIoTの普及が実現します。そのため、ifLinkの利用者を増やすための “仕掛け”が必要となります。その"仕掛け=オープンイノベーションを実践する場"として『ifLinkオープンコミュニティ』があります。


                        

ifLinkオープンコミュニティとは、WebサービスやIoT機器を自由に組み合わせることができるIoTプラットフォーム「ifLink」をベースに、様々な企業・団体に所属する人々がその垣根を超えてオープンに交流しながら「誰もがカンタンにIoTを使える世界」を実現するためのコミュニティです。100社以上の企業や学校が集まり、IoT機器のifLinkモジュール化やIoTソリューションの試作、アイデア発想、マーケティングなどを行っています。

「誰もがカンタンにIoTを使える世界」とは、専門家が提供する特定用途のIoTを、ユーザー企業がその用途通りに利用するというサイロ化された現在のIoT市場を超えて、エンドユーザー企業が自分のニーズにカスタマイズしたIoTを使える世界であり、“オープンなIoT市場”の創造です。そのオープンなIoTの市場の創造を可能とする、コミュニティが持つ三つの価値「出会いの場・試行の場・起業の場」について説明します。                         

    

1. 出会いの場の価値
コミュニティには、様々な業界・役職・年代の会員メンバーが在籍しており、大学生や高校生など若い世代が多数います。また例えば、コミュニティ内では、アイデア発想ツールを使ったワークショップ、会員の知見を集結させるコンテスト、会員アセットを紹介する展示や会員同士の交流会などが開催されます。このようなコミュニティイベントを通じた会員メンバー間の交流により、人と出会い、会員技術や製品・サービス等のモノと出会い、多視点・異視点の知識や知見のアイデアと出会い、新しい共創の機会を得ることになります。加えて、これらのイベント活動に主体的に参画することは、多様な企業と交流しながら企画を進めるプロセスを学習する機会となり、ファシリテーション力やリーダーシップ力など、次世代の共創活動に必要な学びを得ることができる場でもあります。

2. 試行の場の価値
コミュニティには、会員が開発したIF-THENモジュールに関する情報と開発したモジュールの動作環境(テストベッド)用ifLinkが提供されています。この情報とifLinkを活用すると、PoCを即座に実現でき、その上、PoCの効果測定や評価に会員の協力を得ることができます。このように、ifLinkを使うことでPoCに多くのコストをかける必要がなく、様々な試行を繰り返すことができます。業界業種を超えたアイデア交換、既存モジュールで爆速PoC、会員協力でテストマーケティングなどを実行できる場です。

3. 起業の場の価値
コミュニティには、デバイスメーカー、通信キャリア、ITシステム会社、流通販社、コンサル、保険会社、ユーザー企業、学校法人など、IoTビジネスを実現する上で必要となる、様々なレイヤーに携わるプレーヤーが揃っています。例えば、IoTの知見や経験が不足している場合でも、会員のアセットや人脈を活用し、テストマーケティングを繰り返していくことで、製品・サービスのビジネス化につなげることができます。また、販売パートナーを探す場合も、通常であれば数ヶ月から1年以上の時間がかかりますが、会員内に呼びかけることで数日から数週間でパートナーが見つかった例があります。つまり、会員の集合知からの起業支援、事業パートナーの獲得、事業PR機会などが得られるビジネスエコシステムの場です。


このように、ifLinkオープンコミュニティは、ifLinkというプラットフォーム技術を利用して、出会いの場・試行の場・起業の場を通して、会員企業・団体が垣根を超えてオープンイノベーションを実践する場であり、ifLinkを広げるための“仕掛け”となっています。

    

            

両輪揃うから前に進む

 ifLinkとifLinkオープンコミュニティの2つの車輪を用意し回転させることは、IoTの専門家ではない人々が自由にIoTに触れ、活用する市場の創造を目指すスタート地点になります。それは、例えば、現場で働く方々が自分の困りごとを自分にあったIoTで解決しているような世界です。  
 その「誰もがカンタンにIoTを使える世界」の実現に向けて、オープンなIoT市場を創造するため模索を続けていくため、今後強化して行く活動を4つ紹介して終わりにしたいと思います。

1. プラットフォームの拡大                          
「誰でも作れるIoT」を目指すifLinkは、エンドユーザーにとって身近なデバイスであるスマートフォンで使うことができますが、産業分野で安定的に稼働させるためには、バッテリーの充電が必要でモデル寿命も短いスマートフォンでは適さないところがあります。そのため、工場やフィールド、バックヤードなどの現場においてメンテナンスフリーで長時間安定稼働を行える据え置きゲートウェイ「ifLink BoxTM」の開発・事業化に取り組んでいます。
また、店舗や施設など接客が伴うサービス分野においては、相性が良いと考えているコミュニケーションロボットをプラットフォーム化する取り組みを進めています。
最終的には、エンドユーザーがifLink技術を意識せずに利用できる社会の構築を目指しています。

2. 対応モジュールの拡大
ifLink対応のモジュールをさらに増やしていくことに加えて、安心して使えることを目指し、モジュールの認証制度を設けることを考えています。その時、認証制度が開発の障壁とならないようにするため、各モジュールが共通に利用できる標準IMSユニットの提供を目指しています。    

3. レシピの流通
作成されたレシピが共有・配布できるのは、ifLinkの特長の1つです。公開範囲を決めて個人間やグループ内で利用することも、広く公開して誰でも利用可能とすることもできます。将来的には有用なレシピは価格をつけて販売できる仕組みの構築を目指します。

4. IoTの統合プラットフォーム
共通の仕組みで様々なIoT機器が動作するようになると、そこには現実社会の活動を反映した、時系列を持ったデータ社会が出来上がります。ユーザーの個人情報を保護した上でデータフローをオープン化できれば社会システムの効率化や安全性に貢献できる可能性もあると考えています。このようにifLinkは、様々なシーンでの課題の抽出からソリューションの作成と社会実装、さらにはその効果測定まで統合して提供できるプラットフォームを目指しています。

一緒にIoTのオープン化を目指しませんか?

ぜひ、このスタート地点からIoT市場を一緒に創っていきませんか?

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